数年前の猫ブームもあり、猫の飼育頭数は年々増加傾向にあります。
それに伴って、猫飼いさんのための情報サイトや専門書なども多く存在しているので、猫を初めて飼う初心者さんにも飼いやすい環境にありますよね(*^^*)
さて、今回お伝えしたいのは、猫飼いさんには絶対に知っておいてもらいたい猫の病気、「猫伝染性腹膜炎(FIP)」についてです。
なんとこの病気、致死率がほぼ100%であり、2019年現在も治療法が見つかっていない病気なんです。
目次
FIPの原因とは?
とても恐ろしい病気であるFIPですが、一体なにが原因なのでしょうか?
猫コロナウイルスの突然変異
FIPは、猫コロナウイルスというウイルスが原因だと言われています。
実は、このウイルスは多くの猫が既に感染しているそうです。
しかし、ウイルス自体の力は弱く、感染しても症状が無いか、軽度の腸炎を起こす程度です。
そのため、ほとんどの猫には害がないものになります。
ですが、猫コロナウイルスが何らかのきっかけで稀に突然変異を起こし、「FIPウイルス」に変化してしまうことがあります。
このFIPウイルスは、猫コロナウイルスとは違い、毒性が非常に強く、一度発症してしまうとほとんどの猫が助からないそうです。
突然変異を起こすきっかけ
FIPウイルスへ突然変異してしまう原因は、まだはっきりと解明されていません。
しかし、ウイルス変異のきっかけとして、ストレスが大きく関わっているのではないかと考えられています。
例えば、多頭飼育をしてしばらくして先住猫がFIPを発症してしまうというケースが実際に多いそうです。
新しい猫を飼い始めると、どうしても先住猫はストレスを抱えてしまいますもんね…。
発症しやすい猫の傾向
FIPを発症してしまう猫に多い特徴がいくつかあるそうです。
- 純血種
- 1歳未満の子猫
- 10歳以上のシニア猫
FIPの症状
FIPの主な症状として、発熱や食欲不振、ぐったりした状態が見られることが多いです。
また、猫ちゃんによって症状の出方は他にも様々ありますが、FIPの特徴的な症状をいくつかご紹介します。
お腹に水が溜まる(腹水の貯留)
腹膜や胸膜に炎症が起こってしまい、お腹や胸に水が溜まってしまうことがあります。
水が溜まることでお腹が張って呼吸が苦しくなることもあるそうです。
また、心臓の膜に水が溜まってしまうこともあり、その場合は心臓の動きも邪魔してしまうそうです。
こうした腹水、胸水が溜まる症状が見られるFIPをウェットタイプ、腹水や胸水が見られないものはドライタイプと分けられるそうです。
体にしこりができる(肉芽腫)
肝臓、腎臓、目や脳などに肉芽腫というものができることもあります。
目に肉芽腫ができることで、視覚障害、虹彩炎などが見られることが多いです。
目の症状は比較的気が付きやすいので、目に異常が見られたらすぐに病院に連れて行ってあげてください。
そのほかにも…
- 毛の薄い地肌部分や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)
- 多飲多尿
- 嘔吐や下痢
- けいれん
などFIPの症状は様々です。
しかし、こういった症状が見られてもFIPと断定しないように注意してください。
FIPは医師でも診察だけでは確定できず、特殊な検査を行う必要があります。
それだけFIPの診断は難しいそうです。
まずは、「普段の様子と違うな…」と感じたら、すぐに動物病院に連れて行くようにしましょう。
FIPの治療方法
残念ながら、発症したほとんどの猫ちゃんは亡くなってしまいます。
子猫だと1ヶ月から数か月、体力のある成猫でも頑張って1~2年しか生きられないそうです。
冒頭にもお伝えした通り、FIPを完治させる治療法は未だ開発されていません。
しかし、FIPの症状を軽くするための治療法はいくつかあります。
今後の猫ちゃんの生活の質を高めるため、これらの治療法を多くの飼い主さんは選択しています。
ここでは主に使われる薬剤についてご紹介します。
薬には効果もある反面、副作用もあるので、医師とよく相談して治療を行ってください。
ステロイド
高い効果を持つ抗炎症薬です。
ステロイドの持つ免疫抑制作用によって、症状を軽減させます。
猫インターフェロン
ウイルスの活性を抑える薬です。
FIP以外にもウイルスが原因の猫風邪などの感染症にも使われます。
FIPの予防法
FIPを「完全に予防できる方法」も現在確立されていません。
FIPのワクチンは存在していますが、効果が定かではないため日本では使用を認められておりません。
飼い主さん側でできるFIPの予防として、以下が有効になると考えられています。
ストレスのない環境を整える
FIP発症の大きな要因となるストレスを排除してあげることは重要です!
ストレスがあると様々な病気にも繋がってしまいますので、FIP予防だけでなく改めて気をつけておきたいポイントですね。
- 十分に運動できるスペースで飼育する
- 掃除をこまめに行い、清潔な空間を保つ
- 多頭飼いを始める際、先住猫との対面は時間をかけてゆっくりと
外から帰ってきたら手をよく洗う
猫コロナウイルスは既に多くの猫が感染していることが多いのですが、万が一自分の飼っている猫ちゃんが感染していないことも考えて、猫コロナウイルスを予防することも大事です(^^)
自宅に帰ってきたら石鹸を使ってよく手を洗いましょう。
特に、野良猫など他の猫ちゃんと触った時は気をつけたいですね。
また、猫コロナウイルスはアルコールなどの消毒薬が有効なので、手を洗った後に消毒するのも効果的です。
室内飼いを徹底する
室内飼いで他の猫との接触を遮断することで、猫コロナウイルスの感染を予防することができます。
室内飼いによって、猫コロナウイルスだけでなくそのほかの感染症やケンカ、車等の事故からも猫ちゃんを守れるので、猫の飼い方として最近特に推奨されていますね(^^)
最後に
私自身FIPという病気の存在を、猫を飼って1年以上経ってから知りました。
完全な予防・治療法がなく、とても恐ろしい病気であることを、今回執筆して痛感しました。
多くの猫飼いさんにこのFIPという病気を知っていただくこと、また、FIPの研究が進み、治療薬が開発されることを願っていますm(__)m