いつ見ても絶対にかわいい我が家の猫、ネコ、ねこ……普段気にも留めず口にしている、なぜこの名前になったかご存知ですか?
由来や歴史を紐解くと、猫達の意外な姿が見えてきますよ!
目次
猫の習性が語源になった説
よく寝る動物だから「寝る子」で「寝子(ねこ)」でしょ。と答える人は多いはず。
でもそれだけじゃないんです。
……それだけじゃ開始早々この記事が終わってしまいます(^^;)笑
猫はかつて「ねこま」だった
猫は平安時代の辞書である「和名類聚抄」に「禰古万(ねこま)」と記載されています。
弥生時代の遺跡からイエネコによく似た骨が発掘されていますが、文献に猫が登場するのは奈良時代近くになってから。
ちょうどその頃、仏教の経典をネズミから守るために多くの猫が中国から輸入されました。
中国から日本に来た頃は「ねこま」と呼ばれていたのが、いつしか「ま」が抜け落ちて「ねこ」になったとされています。
ちなみに江戸時代に至るまで猫は数が少なく貴重な動物として大切にされ、完全室内飼いの猫も多かったそうですよ!
スタンダードな「良く寝る生き物」説
ご存知の通り、猫は良く寝る生き物で睡眠時間は1日に12~16時間。
熟睡している時間は短く3、4時間ほどなんですが、へそ天しながら、ぷすぷす寝言をこぼす姿は天使ですよね。
猫は夜行性ですから、人間が姿を目にする昼間は特に寝ています。
その様子から「寝る子(寝子)」「寝るのを好む(寝好)」→「ねこ」になったという説が生まれました。
それじゃあ「ねこま」の「ま」は? というと、寝る小動物を表す「寝小魔」、「寝子」に動物を意味する「獣(ま)」がついた「寝子獣」、眠る姿が熊に見えるため「寝熊(ねくま)」と呼ばれていたものがなまった等、諸説あります。
「寝小魔」の「魔」には、神でも人でもない生き物、すなわち動物という意味があります。
猫が寝小悪魔でも納得ですけどね。
「ネズミが好きな生き物」説
猫はネズミから経典を守るという徳の高い仕事をになっていましたが、ネズミを狩ってくれることは農家や養蚕家にとっても有難いことで、守り神として祀られた猫がいるほどでした。
猫の名前にはネズミに関するものも多く、
- ネズミを待ち伏せして捕まえる姿から「鼠子待(ねこま)」
- ネズミを好むので「鼠好(ねこ)」
- ネズミを軽やかに捕まえる姿から「鼠軽(ねかろ)」→「ねこ」という説もあります。
- 「猫子」と書くことも。「子」の元々のいみは「鼠」です。
ネズミにとって、猫は永遠に宿敵なんでしょうね。
「鳴き声」説
江戸時代になるまで、猫の鳴き声は「ねうねう」と表記されていました。
その鳴き声に生き物の小さい子を意味する「子」を付けた「ねうねうこ」が短くなり「ねこ」になったとされています。
現代でもにゃーにゃー、にゃんにゃんなく猫を「にゃんこ」と呼びますから、この説はありそうですね。
閑話休題
ねこまの「こま」は「神」が転じたものかもしれません。
猫には不思議な力があると信じられてきました。
猫に多い名前「タマ」の由来
以前、和歌山電鉄貴志駅の駅長に、三毛猫の「たま」が就任してニュースになりましたね。
猫らしい名前を、というのが彼女の名前の由来だそうです。
サザエさん一家の愛猫も「たま」。「うちのタマ知りませんか?」というアニメもありました。
招き猫のモデルになった猫も「たま」です。
なぜ、猫の名前に「タマ」が多いのでしょうか?
この「タマ」とは「魂」のことだとされています。
生き物の体に宿るタマシイ、霊魂の「魂」です。
猫は死者を蘇らせる、長生きすると「猫又」という妖怪になる等、不思議な伝承が多く、その影響が今も残っているのでしょう。
ちなみに欧米では、猫には魂が9つあると信じられてきたそうですよ。
猫飼いは大昔から相変わらずだった
猫にかかれば飼い主はみんな病気になりますよね! 親バカ猫バカという病気に……。
それは時代を遡っても、例え高貴なお方あっても変わらないようで、平安時代前期に在位した宇多天皇が日記「寛平御記」に愛猫のことを書き残しているのですが、その雅な漢文をざっくりと、現代風に超訳すると・・・
「家の子はそこらの猫とは違う。
瞳は輝いてるし毛はモフモフのツヤツヤだし、丸まって眠ると肢も尻尾も見分けがつかないくらい墨のように真っ黒で、まるで黒い宝玉!
音もなく歩く姿はまさに雲の上を飛ぶ龍!ネズミを捕らせたら都一!神ってる!
家に来てから5年間、毎日乳粥を食べさせてあげてる。
けども、これは父がくれた猫だから大事にしているだけなんであって、別にこの猫が好きな訳じゃないんだからね?」
最後、まさかのツンデレでした。(笑)
他に、一条天皇が愛猫に階位を授けたという話もあります。
猫飼いに貴賎なしですね。
「猫」という漢字の由来
「猫」は日本生まれだって、知ってましたか?
猫と狸は同じ
かつて中国では猫も狸(たぬき)も「狸」と書いていました。
日本でも野良猫を「狸」、飼い猫を「家狸」と書き分けていた時期があり、「狸奴」も猫を表す言葉として残っています。
猫と狸、似ていると思いますか?ラグドールは顔の模様が狸に似ていますね。
耳がないだけで青いネコ型ロボットは狸扱いされてますが……。
個人的には、田舎の夜道を車で走っていてビックリさせられる、という点では凄く似ていると思います(涙)。
猫とドライバーお互いの安全のために、家の中で飼っていただきたい……(´・ω・`)
猫という漢字の成り立ち
「苗」という漢字には「小さい、しなやか」という意味があります。
春先に植えたばかりの青い稲をイメージしてもらうと分かりやすいでしょうか。
短毛で野性的な見た目の猫は、しなやかな身のこなしですよね。
「苗」は「ミョウ、ビョウ」とも読めるので、猫の鳴き声も関係していそうです。
さらにネズミから田畑や穀物を守ってくれることから、苗に獣偏が付き「猫」という漢字が日本で作り出されました。現在では中国でもネコには「猫」が使われていますよ。
先に紹介した他にも、
- 虎に似ているから「似虎」、「如虎」
- 高麗から日本へやって来たから「寝高麗」
- 良く寝るもふもふの生き物だから「寝毛物」
等、由来は多種多様です。
皆さんも自分流に考えてみては?面白い新説が生まれるかも知れませんよ!