人間の病気としても有名な「てんかん」。
突然てんかん発作が起き、意識がなくなったり手足が痙攣したりして、てんかん患者さんの交通事故などをニュースで見聞きすることも少なくありませんよね。
実はこのてんかんという病気、猫さんでも発症するケースがあるんです!
今回は、猫のてんかんについて、その原因や治療法について解説します。
目次
突然の発作!猫にとっても怖い病気!てんかんの症状や原因とは
そもそも「てんかん」とは、脳の神経細胞の一部が突然異常に電気信号を送る状態となる病気です。
異常に反応した神経細胞の場所によって、意識消失や手足の痙攣、全身の脱力などの症状となって突然現れるのがてんかん発作です。
脳腫瘍や脳梗塞、頭に怪我をしたときの脳内出血など、はっきりとした原因があっててんかんを引き起こす場合と、脳疾患や外傷などのはっきりした原因がないのにてんかん発作が起こる場合があります。
ペットでいうと、猫よりも犬のほうが多く発生するといわれています。
猫さんの中でてんかんにかかる割合は、だいたい1%以下といわれている珍しい病気ではあるのです。
てんかん発作の症状は、ほとんど前兆のないまま突然発作が起こるといわれています。
発作自体は数十秒~数分で、始まったときと同じく突然おさまることがほとんどです。
ただし、意識がなくなってしまうほどの発作では、おさまって意識が回復した後もしばらくぼーっとした状態がみられることもあります。
また、てんかんが重症化すると、10分以上発作が続いたり立て続けに発作が起こったりする「重責発作」という状態になることもあり、これを放置すると脳に後遺症がでたり、さらにてんかんが悪化する危険があります。
てんかん発作の主な症状
- 痙攣 (全身をビクビクと震わせる/目の周りなど顔の一部だけをぴくぴくさせる)
- 手足の硬直 (四肢をピンと伸ばした状態で倒れてしまう)
- 意識喪失
- 口からヨダレや泡を出す
- 尿や便を漏らす
はじめて愛猫のてんかん発作を目の当たりにする飼い主さんは、驚きと恐怖でパニックになってしまうほどだそうです。
愛猫にてんかん発作が起きたとき、飼い主さんにできることは?
それでは、愛猫に突然てんかん発作が起きたとき、飼い主さんにできることはあるのでしょうか。
先に書いたとおり、てんかん発作は突然です。
さっきまで元気だった猫さんが突然痙攣しながら倒れてしまったら、飼い主さんも当然驚き、パニックになってしまうでしょう。
そんな中でも、愛猫の安全を確保するために飼い主さんにできることがあります!
安全な場所を確保する
特にキャットタワーや家具の上にいるときに発作が起きた場合には、安全な場所に降ろしてあげることが最優先です。
広いスペースやクッションの上にゆっくりと寝かせてあげてください。
痙攣がひどく危険な場合には、タオルなどで包んで移動させましょう。
気道を確保する
発作の最中に、失禁したりおう吐することがあります。
特におう吐は、吐いたものをつまらせて呼吸困難に陥ってしまう危険がありますので、注意しましょう。
おう吐を確認したら、つまらないよう取り除いてあげなければいけません。
時間と状況を確認する
パニックになっていると、具体的に何分間の発作だったのか、どのような症状だったのか、覚えているようで後になるとあいまいだったりすることがよくあります。
発作の後に獣医さんに報告するためにも、まずは努めて冷静に、発作が起きたときの状況・正確な時間・どんな状況だったのかをしっかり書き留めておきましょう。
発作が起きている間は、残念ながら飼い主さんがゆすったり抱きしめたりしても治まることはありません。
それでも、発作は必ず時間とともに治まりますので、辛いですがじっと見守ってあげてください。
てんかんが完治することはあるの?治療法について
愛猫にてんかんの発作らしき症状がみられたあと、実際の治療について気になるところですよね。
てんかんの治療は、まずはその原因を調べるところから始まります。
上に書いたように、てんかんの原因は大きく2種類。
脳内の疾患や頭の傷が脳神経の異常を引き起こしている場合と、原因不明で突発的におこるものがあります。
前者の場合には、その原因となる病気の治療からおこなっていくことになるでしょう。
実はてんかんの症状は、脳の疾患だけが考えられる原因ではありません。
内臓疾患や糖尿病、血液の異常からもてんかん症状が現れる可能性があるため、慎重に原因の特定と治療を受けることが必要になりますね。
原因不明でおこる突発性てんかんでは、残念ながら完治というのが難しいといえます。
根本的な治療というよりは、抗てんかん薬を処方し、てんかんの発作をコントロールしていくことになります。
また、発作の程度が軽かったり頻度が少なかったりする場合には、獣医さんの判断で投薬なしの経過観察となる場合もあるようです。
そのため、獣医さんが正しく判断するためにも、飼い主さんからの観察記録がとても重要になるというわけです。
突発性のてんかんでは、薬が効いて発作がほとんど見られなくなることもよくあります。
その際に、飼い主さんが「完治した!」と判断してしまって薬をやめてしまい、再発するケースも珍しくないようです。
投薬を勝手にやめたり減らしたりすることは、てんかんが更に重症化して再発する危険性が高いということを覚えておいてくださいね!
いかがでしたか?
猫のてんかんは、発作を見ることも衝撃ですし、治療にも根気と時間が必要な病気です。
それでも、きちんと原因となる病気を治療したり、抗てんかん薬を投与すれば発作をおさえることができます。
よく獣医さんと相談しながら愛猫と一緒に乗り越えてもらいたいな、と思います!